WEBサイトについて考えたこと

WEBデザイン全般について、よくあるTipsではなく、独自に考えたことを載せていきます

絵画教室のWEBサイトについて #2 / ナビゲーションも情報もバラバラ

2023年6月、友人が運営している子ども向け絵画工作教室のWEBサイトをリニューアルした。そのとき参考として他所の絵画教室サイトをいくつか見たが、改めて全国津々浦々の子ども向け絵画教室サイトを観察してみた。(150近くものサイトを見た!)

同じ絵画教室という業種であっても、ページ分けやナビゲーションがバラバラで統一性が一切なく、また、個々のサイトは情報整理・設計(IA)も考慮されていない。非常にわかりづらいサイトがとても多いことに驚いた。

多種多様なグローバルメニュー

各サイトのグローバルナビゲーションに並んでいるメニューの一例を挙げてみる。

  • ○○(教室名)について
  • ○○(教室名)でできること
  • ごあいさつ
  • 教室理念
  • 教室のご案内
  • クラス案内
  • 中高生
  • 美大受験コース
  • 活動の流れ
  • レッスン
  • カリキュラム
  • 講師紹介
  • スケジュール
  • 年間予定
  • 料金
  • 費用・時間割
  • アクセス
  • ストリートビュー
  • 教室からのお知らせ
  • 入会方法
  • 体験入学
  • よくある質問
  • お問い合わせ
  • 今月のテーマ
  • わんぱく展
  • ブログ
  • リンク
  • shop
  • オンライン工作教室
  • 動画と作品例
  • 生徒作品集
  • ○○(教室名)アーカイブ
  • 教育目標
  • 募集要項
  • ログイン(※近くに説明がない)
  • マイページ(※近くに説明がない)
  • メディア掲載
  • 受賞さくひん
  • 展覧会
  • 個展
  • 油絵
  • 水彩画
  • 平面
  • 木工
  • 立体・造形

これでも数多あるグローバルメニューの一例に過ぎない。中には「プログラミング教室」という、絵画教室とは分けたほうがよいものが絵画教室サイトのメニューに並んでいる例もあった。さらに「ABOUT」「PROGRAM」など英語表記になっているせいでぱっと見わかりづらいサイトもあった。

日本語と英語が混ざっているナビゲーションも

さらに、人間が短期間に覚えておける情報の量には限界があって、項目の数にして5つから7つが限界だといわれている。にもかかわらず、グローバルメニューに10個以上の言葉が並んでいるサイトも少なくなかった。

グローバルナビゲーションメニューの数が多すぎる

どの情報がどのページにあるのかはっきりわからないサイトが多い。ユーザーは知りたい情報を探すのに苦労しストレスを感じるだろうなと率直に感じた。また、複数の絵画教室を比較するとなるとさらにストレスがかかりそうだ。

絵画教室サイトの多くがなぜわかりにくいのか、その理由を少し考えてみたい。

三者三様の「絵画教室」

一口に「絵画教室」といっても、その業態は教室ごとに三者三様であることがIAやナビゲーションに大きく影響してる。

  • 対象者は子どもだけか、大人用のクラスの有無
  • 子どもというのは小学生までか、中学生までか
  • 美大芸大受験用のクラスの有無
  • 個別指導の有無
  • 1か所で教室を開いているのか、複数の会場があるのか
  • 講師の数(作家が1人で開いている教室もあれば、10人近い講師が在籍する教室もある)
  • 額縁店など美術関係のお店が絵画教室を開いているケース
  • 常時、たくさんの生徒を集めたいかどうか

このように絵画教室の業態は様々だ。そのため絵画教室サイトのナビゲーションに統一性がないのもうなづける。ただし、それはナビゲーションあるいはサイト全体がわかりづらいこととは直接は関係ない。

たくさんの絵画教室サイトを見ていて1番ストレスがかかったのは、教室が誰を対象としているのかすぐにわからないということだった。子どもに自由な創作を促すのか、美大芸大受験を目指す生徒を集めたいのか、あるいはその両方なのか。大人も対象なのかどうか。それがすぐにわからないサイトばかりだった。

教室の実態が三者三様であっても、IAがある程度考慮されていれば、それほどわかりにくくはならないはずなのだが、多くの絵画教室サイトはわかりづらい。どうしてなのか。

WEBサイトにお金をかけられない絵画教室

絵画教室は小規模で運営しているところが多い。中には作家が一人で教室をやっているケースもある。それが何を意味するかというと、WEBサイトにお金をかけられないということだ。実際、wixJIMDOなど、無料で利用できるプログラミング不要のWEBサイト作成サービスを使っているところが散見された。おそらく教室の主催者自身がサイトを作成し運用しているのだろう。

丁寧なIA設計からWEB制作会社に任せるとそれなりに費用がかさむ。そのため安価な制作会社にWEBサイトの作成を依頼しているケースもあるかもしれない。そもそも絵画教室の運営者がIA・情報整理の重要性を理解してない可能性も高い。

IAは「絵を上手に描くこと」とは全く別のものなので、教室の主催者に「ちゃんとした情報整理・設計」を求めるのは酷かもしれない。とはいえ、小規模で予算の余裕のない絵画教室の運営者に対して「無料サービスや格安業者ではなく、ちゃんとしたWEB制作会社に依頼してください」というのも無理があるように思う。

そこで次回はせめてこのブログの中で、教室の業態ごとにどのようなナビゲーションにしたらわかりやすくなるのか考えてみようと思う。